多焦点(遠近両用)眼内レンズによる日帰り可能な白内障手術とは
多焦点眼内レンズによる白内障手術は、手術後に「遠くも」「手元も」、メガネ無しでよく見える、快適な生活を実現するための最先端手術です。当院の白内障手術は、日帰り手術を行っています。
最近では、日帰り手術が話題として取り上げられています。入院手術では,仕事上の不都合,入院先での人間関係、見舞客への対応、家をあける心配など、入院を戸惑う人は多いはずです。また、ご老人の場合、入院による生活環境の変化からかえって体調を崩す方もおられますし、高血圧症や糖尿病を持病としてお持ちの方は、入院による生活パターンの変化から、安定していた血圧や血糖のコントロールが崩れる場合もあります。
あるアンケート調査では日帰り手術を受けた人の80%は日帰り手術でよかったと回答したそうです。手術が終わった後は徒歩、電車やバス、タクシーなど様々な方法で帰宅できます。自宅が当院から遠い人(片道2時間以上かかる人など)は、当院でも割引契約をしている近隣のホテルを予約できますのでお申し出ください。
多焦点(遠近両用)眼内レンズ
当院では、厚生労働省 先進医療認可品目である2焦点〜3焦点まで、すべてのレンズを取り扱っています。また、完全自費診療となりますが、未承認レンズ(欧米では承認済み)の用意も可能です。
<重要>
多焦点眼内レンズによる白内障手術は保険外治療であるため、費用は自費となります。
しかし、当院は多焦点眼内レンズによる白内障手術において厚生労働省より先進医療機関の認定を受けていますので、術前・術後の診察は保険診療が適用され、患者さんの自己負担は軽減します。
また、医療(生命)保険の先進医療特約 に加入している方は、自己負担分の一部または全部が支給される場合があります。(注:医療(生命)保険の先進医療特約 は制度上2020年3月をもって終了しました)
尚、多焦点眼内レンズは老眼の解消を可能とするものですが、あくまで白内障手術において使用されるものです。従って、健康な目に対して本手術を行うことはありません。
水晶体が混濁する病気、白内障とは
目のレンズにあたる水晶体(左図参照)に「にごり」が生じたものを白内障と呼びます。ほとんどは老化現象により起こるものですが、けがや薬、あるいは糖尿病の合併症として、比較的若い方でも白内障になる場合があります。
白内障は全て手術が必要というわけではなく、眼鏡をつかっても視力が出ず、日常生活に不自由を感じるようになった時が手術を受ける時期といって良いでしょう。 それまでの間、進行を遅らせるために目薬を使うことがあります。進行の度合は個人差があります。
白内障の主な自覚症状
- メガネをかけても視力が思うようにでない。
- 視界が白くかすんだ様に感じる。
- 夜、車のヘッドライトなどが非常にまぶしく感じる。
- まぶしさのため明るいところで見えにくい。
- 物が二重。三重に見える。
白内障は、極度に進行した状態になると合併症を起こしたり、手術に支障をきたす場合があります。しかし、特殊な状態を除いて、白内障の手術は緊急を要するものではありませんので、日常生活に不便を感じるようになった時点で手術を検討するのが一般的です。運転免許の更新基準が矯正視力で0.7以上なので、それは一つの目安になるでしょう。
白内障が進行すると視界がかすんだ状態となり、眼鏡やコンタクトレンズを使用しても視力が出にくくなります。通常は、日常生活に不自由を感じるようになったら手術を行います。
多焦点眼内レンズとは(単焦点との違い)
これまでの白内障手術には、単焦点眼内レンズのみが使用されていました。そのため、白内障手術を受けると、遠方・近方のどちらか一方にしか焦点が合いません。例えば、眼内レンズの度数を遠くに合わせた場合、近くのものを見るには眼鏡(老眼鏡)が必要になります。
新しく開発された多焦点眼内レンズは、遠方、中距離、近方それぞれ複数箇所にピントが合うよう設計されています。そのため、手術後は眼鏡なしで「遠くのもの・手元のもの」に焦点が合うようになります。つまり、多焦点眼内レンズの使用により、白内障手術で視力を改善できるだけでなく、老眼を解消することができ快適な生活を可能にする手術といえます。
夜間でのシミュレーション
- 単焦点眼内レンズの場合、高照度条件下では遠方視が得られますが、夜間や低照度条件下ではみえにくいことがあります。
- 多焦点眼内レンズは、1)よりコントラストが良好であることが報告されています。これは夜間の運転など、日常生活では大切な事柄です。
- 低照度条件下でも遠方視が鮮明です。
- 多焦点眼内レンズの方が時速88kmでの対物識別距離が14m手前という結果が得られました。これにより、運転時の安全性が向上する可能性が高いといえます。